9月のQC検定1級の試験に向け、2013年・2014年の過去問を中古で買ってきましたので、それらの文章題を読み物にしています。
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※試験では赤字の箇所が選択肢問題として出題されています。
【問題】
2014年・春
問11
H社では、自社の品質保証活動状況について検討するための品質保証会議を毎月開催している。その中では、顧客からの苦情・クレーム(以下クレームと記す)、そして顧客からの問い合わせの内容の報告があった。以下は、ある月の報告の内容と審議の様子である。
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■クレーム
【報告①】半年前に発売した消費者向けの新製品である製品Tで、使いにくいというクレームが毎月数件続いて発生している。
【報告②】製品Pで、ひび割れのクレームが1件あった。
【報告③】顧客に納入した製品Yの一部に、梱包が水濡れしていたものがありクレームとなった。
■問い合わせ
【報告①】製品Dに使用されている添加剤の安全性について、問い合わせがあった。
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(1)クレームについての審議
【報告①】
使いにくいというクレームが継続して発生しているということは、製品Tを開発する段階でVOC(Voice Of Customer)を十分つかみきれていなかったという反省をしなければならない。製品Tの開発は品質保証体系に基づいて進められたが、製品企画ステップをはじめ、各ステップ移行の審議会に営業部門が参画していなかった。もし営業部門も参画して十分な審議を行っていればあるいは防げていたかもしれない。このクレームを反省して、新製品開発の仕事の進め方、とくにDR(Design Review)のあり方を今後検討すべきである。
【報告②】
クレームは1件であるが、ひび割れは通常発生しない現象であり、また製品の機能に影響を与える可能性がある。そこで、なぜひび割れが発生したのか、製品にひびが入った場合にどのような影響があるかという、原因と影響の両面を検討することにした。
まず、なぜ発生したのかということについては、ひび割れという好ましくない事象をトップイベントにとりあげ、次に、その発生原因となる事象を順次取り上げる形で検討するのがよいので、FTA(Fault Tree Analysis)を用いて検討することにした。ANDゲートやORゲートなどの論理記号で関係づけながら、根本原因を探求する予定である。
それと並行して、ひび割れの影響が安全性や製品機能にどのように波及するかを、ひび割れを起因事象にしてETA(Event Tree Analysis)を用いて検討することにした。このETA(Event Tree Analysis)はFTA(Fault Tree Analysis)と同じように、系統図の形で表しながら検討していく手法である。
【報告③】
原因を調査した結果、代理店の倉庫で保管中に水漏れがあり、一部の製品に濡れが発生したことがわかった。工場出荷までだけではなく、生産、流通、販売に至る、顧客にお届けするまでの供給の連鎖の中で製品の品質保証を行っていくことも大切である。このように、品質保証においてもSCM(Supply Chain Management)の考え方は大切であり、今後これらの関係各社で協力して取り組むことにした。
(2)問い合わせについての審議
【報告①】
製品に使用する原材料、そして製造工程中で使用するすべての原材料については、メーカーから安全性の基礎データを入手して揃えてある。そのなかには、化学物質の危険有害性情報を記載した文書であるMSDS(Material Safety Data Sheet)も含んでいる。MSDS(Material Safety Data Sheet)は労働安全のためにも必要なものである。
それ以外の安全にかかわる資料やデータも揃えており、情報提供できるようにしている。製造物責任予防においても基本はPS(Product Safety)であり、今後もより良い安全な製品を作り込んでいく活動に努力していくことが大切である。
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最新の過去問でも勉強しましょう。