QC検定1級の問題を読み物形式で振り返ります。
私がQC検定1級に合格できたのは、問題を自分でまとめて何度も読み直したからかもしれません。
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※試験では赤字の箇所が選択肢問題として出題されています。
【問題】
2019年・秋
問13
X社は、社員数200名程度の部品メーカーである。以下は、ISO9001:2015の審査にあたっての審査員との会話である。
<審査場面A>
審査員:昨年度の御社の業績はいかがでしょうか?
経営者:昨年はY国での需要が拡大して、輸出量が多くなって利益が大きくなりましたが、今年はその反動で生産量が減少して、利益もあまり見込めないのが現状です。
審査員:昨年度の業績の結果に対するプラス要因とマイナス要因は、どうお考えでしょうか?
経営者:プラス要因は、Z国での経済発展による需要増ですね。為替の変動については、あまりマイナス要因とはなりませんでした。
審査員:来期以降はいかがでしょうか?
経営者:今期からZ国のメーカーへ部品を提供すべく、生産を現地へ移転する準備を進めており、来期以降は売上高が増えるのが期待できます。
<審査場面B>
審査員:Z国へ派遣する人材は技能が高い人材でないといけないと思うのですが、そのような人材はどれだけいらっしゃいますか?
経営者:残念ながら、高齢化もあって、いま現地を指導できそうな人材は3名しかいません。今後は若手の育成に力を入れようと考えています。
審査員:なるほど。しかし、品質方針や人的資源に関するプロセスのなかには、それに該当する内容が見受けられないようですが?
①
審査場面Aの会話で、審査員は、ISO9001:2015における「4.1 組織及びその状況の理解」の認識とその変化を、どのように考えているかについて質問している。そこでは、「組織は、組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、かつ、その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し、レビューしなければならない。」とある。
②
品質マネジメントシステムは、組織の目的を実現するために、品質を管理するための仕組みとして構築する必要がある。しかし、実際には、形骸化している場合も多く見られる。ISO9001:2015の「4.1 組織及びその状況の理解」では、形骸化を防止するために、組織の目的に合致する品質マネジメントシステムの構築において、第1に考慮すべき事項として、組織の目的、戦略的な方向性、外部及び内部の課題の明確化を要求している。
③
審査場面Bの会話で、審査員はISO9001:2015における「6.1 機会及びリスクへの取組み」について質問している。ところが、経営者は的確に課題を認識しているものの、X社は具体的な対処に結びつく体制を構築できていないことがわかる。
④
以上から、審査員はX社に対して「6.1.2 組織は、次の事項を計画しなければならない。」の「a)上記によって決定した機会及びリスクへの取組み」、「b)次の事項を行う方法1)その取組みの品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施 2)その取組みの有効性の評価」の観点から、不適合を指摘することができる。
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色々なテキストを試してみましたが、この1冊をマスターすれば、QC検定1級合格は余裕です。